ヒカリ
ギターの弦を適当に弾く泉水を見ながら聞いてみる。

「泉水っていくつ?」

「20。そっちは?」

「22。」

「うっそ。未成年だろ。さばよむなよ。」

年下だと思ってたわけだ。
なるほど。

「よんでない。」

「…へぇ。」

泉水はまじまじと私を見上げる。

「前髪、なんでそんなに短いの?」

「こだわり。」

私のこだわり。
ザクザク短い前髪と、ストレートのロングヘア。
泉水に聞かれて初めて、この前髪のせいでたまに未成年に見られるのかもしれない、と気付いた。

「…へぇ。」

「泉水は大学生?」

「そ。2回。」

「ふぅん。」

泉水はまたギターに目を落として、弦を弾く。

「そっちは?学生?OLとか?」

「ううん。私は主婦。」

「主婦ぅ?」


泉水が顔をあげた。

私はピーコートのポケットに突っ込んでいた左手をヒラヒラさせて見せる。

「ほらね。主婦。」

「…結婚してるんだ。」

「そう。」

「…へぇ。…そう。見えないね。」


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