ヒカリ
両親は『出来ちゃった婚』で、つまり私は『出来ちゃった子』だったらしい。

はっきり言われたわけじゃないけど、つまりそういうことだよね。

お父さんがイタリアにホームステイしていた時、旅行で来ていたお母さんと出会って、まぁなんというか盛り上がっちゃったらしい。
異国の地で同じ日本人に会って、きっと変なテンションになっちゃうんだと思う。


その時、両親がたまたま連絡先を交換していなかったら、私は確実に母子家庭できっとあんなに裕福な暮らしは出来なかっただろう。

だけど、こうも思う。
もし、転勤族のお父さんがいなければ、私にはたくさんの友だちがいて、すてきな青春を送っていたんじゃないか、って。

考えても仕方のないことだ。

たくさんのもしもを重ねても、何にもならない。
私は私でしかない。

私はこのままで生きていくしかない。

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