ヒカリ
『恵玲奈、今ひま?』

泉水からそんなメールが来たとき、もちろん私は暇だった。

むしろ、暇じゃない日なんてない。

私たちは公園で会うことにした。
公園なら、チャーリーも行けるから。

夕方のどんぐりの森で、泉水はもうギターを弾いていた。

私とチャーリーの足音に気づくと、顔を上げて、おう、と言った。

「チャーリー、久しぶり。」

泉水はチャーリーの頭をごしごしと撫でてから、私を見上げてにっこり笑った。

「恵玲奈も久しぶり。」

「久しぶり。これ、あげる。」

公園の入り口で買った缶コーヒーを泉水に手渡す。

「うわ、さんきゅ。」

泉水は缶コーヒーを両手で包むように持った。

「なぁ、恵玲奈。今週末、暇?ライヴするんだけど、来る?」

「ライヴ!?行く行く!」

思わず二、三回ジャンプしてしまった。

泉水はそんな私を見てくすくすと笑う。

「ジャムっていうライヴハウス、場所分かる?」

私が首を振ると、泉水は木の枝を拾って地面に地図を書き始めた。

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