ヒカリ
一曲目が終わり、ボーカルの人がバンド紹介を始める。

一組目のバンドはsunnyという名前の3ピースバンドだった。
ボーカルの人が怒鳴るように歌いながら、ステージの上をところ狭しと跳び跳ねる。

その人たちが終わり、次のバンドの人たちがステージに上がる頃、

「そろそろ行くわ。終わったらまた来るから。」

そう言って、泉水は私の肩をぽん、と叩くと入り口とは違う扉から出ていった。

二組目のバンドが終わる頃には、私はビールを飲み干していた。
音楽を聞きながら飲むビールはいつもよりおいしかった。
お客さんの熱気や照明のおかげで、ライヴハウスの中は暑いくらいになってきた。私はコートを脱いで腕にかける。
他のお客さんはみんな半袖だった。

ステージ上では、スタッフの人が機材をさわっている。
よく見ると、泉水がギターを持ってスタッフと話しているのが見えた。

「ねぇ、次オーガスタス?」

「うん。ギターの泉水くん、かっこいいよねぇ。」

「うんうん、泉水くんかっこいい。輝真くんもかっこいいけど。」

そんな会話がすぐ近くで聞こえて、顔を向けると女の子たちが数人で話していた。


顔を戻してステージ上の泉水に目をこらす。

ふーん。
泉水って結構人気あるんだ。
< 56 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop