ヒカリ
ステージに一斉に照明が当たった。

それと同時に、音楽が大きな波となって私を飲み込んだ。
体全体が包み込まれる。
知らなかった。
音楽って耳で聞くんじゃなくて、体で聞くんだ。

ステージの上でギターを弾く泉水は、今まで見たことがない顔をしていた。
楽しくてたまらないって顔。
たまに、お客さんの方をちらり、と見た。
客席は暗いし、ステージからは私は見えないんだろうか。

お客さんたちが右手を突き上げ、音楽に合わせて揺れ始めた。

ライヴハウスぜんたいが揺れているような錯覚。

泉水がギターを弾きながら、高くジャンプする。
そこにいる泉水は、まるで私の知らない人みたいに見えた。
< 57 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop