ヒカリ
一組目と二組目のバンドを聞いてる時は、長いなと感じたのに、オーガスタスはあっという間に終わっていた。

しばらく壁にもたれたまま放心状態だった。
ふと、気がつくといつの間に腕からすり抜けたのか、コートが下に落ちていた。

「オーガスタス…」

横のほうから、そんな単語が聞こえてきた。

ぼんやりしたまま、目だけ動かすと、さっかとは違う女の子たちが輪になって話している。

「あの子、オーガスタスの自称マネージャーだって。」

「自称?勝手に言ってるの?」

「あ、それ、トウコって子でしょ?」

「そうそう。しかもね、誰とでも寝るって有名なんだって。」

「もしかして、オーガスタスのメンバーとも寝たのかな?」

「そりゃ、自称マネージャーだからねぇ。」

えぇー、いやだぁと口々に言いながら、女の子たちは離れていく。

ため息をつきながらコートを拾う。
下らない。
せっかくいい気分だったのに、あんなゴシップ聞いちゃって一気に最悪な気分だ。
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