ヒカリ
「なんだよ、友だちって、どこで見つけてきたんだよ。」

輝真くんがそう言った時、部屋の扉がひらいて、一人の女の子が入ってきた。
肩までの茶色の髪は内巻きにしてあり、歩くたびにふわりと揺れる。
黒いノースリーブのワンピースとロングブーツをはいて、かつかつとこちらに近づいてきた。
大人っぽいけど、私よりは年下かな、と思った。

「みんなー、お疲れー。ビール差し入れだよー。」

女の子はコンビニの袋をかかげてみせた。

「はい、泉水はアサヒでしょ。ラリーはハイネケン。サクと輝真はキリンね。」

ぽいぽいと袋からビールを出して一人一人に渡すと、自分もビールを手に取り、
「お疲れー。」
と叫んだ。

その時、ようやく私に気づいたらしい。

「え?誰?」

一番近くにいた輝真くんに聞いた。

「恵玲奈ちゃん。泉水の友だち。」

輝真くんの言葉に、その子は目を真ん丸にした。

「泉水の友だち?」

「そ。俺の友だち。今日のライヴ、見に来てくれたんだ。」
泉水はそう言って、ビールを一口飲むと私に、飲む?と差し出した。


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