ヒカリ
その後も、私と泉水は手を繋いだまま、水族館の中を歩き回った。

ラッコの餌やりもちょうど見ることが出来たし、イルカショーも最前列で見た。

「恵玲奈、腹へらない?」

泉水に言われて初めてお腹が空いてることに気づく。

私たちは、水族館の中にあるカフェテリアに入った。

通されたのは海が見える席で、遠くの方に船が何艘か浮かんでいるのが見えた。

「恵玲奈、水族館は楽しい?」

スプーンとフォークを器用に使ってパスタを食べながら、泉水が聞く。

「うん。すっごく。」

私がそう答えると、泉水はそっか、と笑いパスタを口に運ぶ。

泉水はすごくおいしそうにご飯を食べる。
いただきます、って、ちゃんと手を合わせるし、運んできた店員さんにもちゃんとありがとう、って、言う。

泉水はいつも当たり前に、周りを気遣ったり、感謝したりしてる。
それは、きっと泉水が愛されて育ったからこそ出来ることなのだろうと思う。


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