ヒカリ
「うわぁ、きれい。」

そこは特別展示でいろいろな種類のクラゲを飼育しているコーナーだった。

ふわり、ふわり、と半透明の体が揺れる。

「クラゲ、飼いたいなぁ。」

水槽にへばりつきながら呟いた。

「柔らかそう。さわってみたい。」

「恵玲奈、刺されるからやめとけ。」

えっ、と泉水を見上げる。

「クラゲって…刺すの?」

こんなにきれいでゆったりしててかわいいのに。

「海でたまに刺されるだろ、クラゲに。」

「そっか。知らなかった。」

海か。
そう言えば、私は海水浴にも行ったことないや。

「私、知らないこと多いよね…。」

自覚してなかったけど、私は経験も知識もたぶん人よりすごく少ないのだ。

「確かに、恵玲奈は知らないこと多いけどさ…。」

泉水は私の頭をぽんぽん、と軽く撫でた。

「その分これからたくさんのことを知れる。いいことだと俺は思う。だって、知らないこと知るの、楽しいだろ?」

クラゲを見つめたまま、こくり、と頷いた。

そうかもしれない。

涙が出そうだった。

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