ヒカリ
第三章
advice
その貼り紙を見たのは、本当にたまたまだった。
「アルバイト?」
泉水に聞かれ、私はうん、と答える。
夜の公園で、私たちは待ち合わせをして、泉水のギターを聞いていた。
「募集してたの。公園の入り口の並びにあるでしょ?和菓子屋さん。」
「あぁ、あるね。あさだ、だっけ?」
「ううん、あさの、だよ。貼り紙してたの。」
チャーリーの散歩はいつも夜だ。
だから今まで何度も通っていたのに、その貼り紙にずっと気づかなかった。
「こないだ、水族館に行った帰りにたまたま気付いたの。いつも通るのは夜だったからシャッター閉まってて気付かなかったみたい。」
「恵玲奈って本当、夜型だよな。」
泉水はそう言って苦笑した。
泉水の長い前髪がふわり、と風に揺れる。
「で、なに?恵玲奈、バイトしたいの?」
「…私に出来ると思う?」
泉水は、はぁ?と眉にしわをよせた。
「出来るだろ。そりゃあ。…まぁ受かればの話だけど。」
「受かるかな?」
泉水はまた眉にしわをよせる。
「知らねぇよ。やってみなきゃわかんないだろ。」
そりゃそうだけど。
私は今まで一度もバイトしたことないし、面接だって受けたこともない。
なんでも出来ちゃう泉水とは違うのだ。
「恵玲奈、なんでバイトしたいの?」
下を向いていたら、泉水が聞いてきた。顔を見ると、眉間のしわは消えている。
「和菓子、きれいだし。店員さん見たら、かわいい和服だったし。」
泉水は、ククッと笑いながら、手のひらで口を押さえる。
「それが理由?和菓子がきれいなのと、和服が着たいから?」
私はゆっくり首を振る。
本当は違う。
うまくは言えないけど。
「それだけじゃないよ。それだけじゃないけど…。」
「けど?」
「…なんか私もやってみたい、って思ったんだもん。」
思いきって言ったあと、そうか、と自分で思った。
そうか、私は変わりたいのか。
「アルバイト?」
泉水に聞かれ、私はうん、と答える。
夜の公園で、私たちは待ち合わせをして、泉水のギターを聞いていた。
「募集してたの。公園の入り口の並びにあるでしょ?和菓子屋さん。」
「あぁ、あるね。あさだ、だっけ?」
「ううん、あさの、だよ。貼り紙してたの。」
チャーリーの散歩はいつも夜だ。
だから今まで何度も通っていたのに、その貼り紙にずっと気づかなかった。
「こないだ、水族館に行った帰りにたまたま気付いたの。いつも通るのは夜だったからシャッター閉まってて気付かなかったみたい。」
「恵玲奈って本当、夜型だよな。」
泉水はそう言って苦笑した。
泉水の長い前髪がふわり、と風に揺れる。
「で、なに?恵玲奈、バイトしたいの?」
「…私に出来ると思う?」
泉水は、はぁ?と眉にしわをよせた。
「出来るだろ。そりゃあ。…まぁ受かればの話だけど。」
「受かるかな?」
泉水はまた眉にしわをよせる。
「知らねぇよ。やってみなきゃわかんないだろ。」
そりゃそうだけど。
私は今まで一度もバイトしたことないし、面接だって受けたこともない。
なんでも出来ちゃう泉水とは違うのだ。
「恵玲奈、なんでバイトしたいの?」
下を向いていたら、泉水が聞いてきた。顔を見ると、眉間のしわは消えている。
「和菓子、きれいだし。店員さん見たら、かわいい和服だったし。」
泉水は、ククッと笑いながら、手のひらで口を押さえる。
「それが理由?和菓子がきれいなのと、和服が着たいから?」
私はゆっくり首を振る。
本当は違う。
うまくは言えないけど。
「それだけじゃないよ。それだけじゃないけど…。」
「けど?」
「…なんか私もやってみたい、って思ったんだもん。」
思いきって言ったあと、そうか、と自分で思った。
そうか、私は変わりたいのか。