ヒカリ
泉水は本当にすぐに来た。

赤い小さなバイクが停まったかと思うと、泉水が乱暴にバイクをとめて私に向かって走ってくる。

「あ…あの泉水。あのね。」

泉水は何も言わず、私を見つめて、うん、と頷いた。

やばい。ものすごく心配されてるっぽい。

「泉水、あのね…」

嘘だよ、受かったよ、と言おうとしたその瞬間、私の視界は真っ暗になった。

一瞬、なにが起きたのかわからなかった。

「…恵玲奈。」

泉水に抱き締められていることに気付いたのは、耳元で泉水の声がしたからだった。
泉水の胸はものすごく広くて温かかった。
ぎゅう、と腕に力が入る。


どうしよう。
どうしよう。

そう思った。


今さら嘘だよ、なんて言えない。
…では、なく。


どうしよう。
どうしよう。

ずっとこうしていて欲しいだなんて。


どうしよう。



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