ヒカリ
「…ぶしゅんっ。」

心臓が止まるかと思った。

「しーっ、だめ、チャーリー、くしゃみ我慢して!」

慌ててチャーリーのぺちゃんこの鼻を手で覆う。

どうか聞こえてませんように!


「…っく、ぷはぁっ!!犬にくしゃみ我慢しては無理でしょー。」

ばっちり聞かれた…。
バレてしまった。
チャーリーのばかたれ。

これ以上、隠れていたら、私(とチャーリー)は立派な不審者だ。

そっと木から顔を出すと、男の人はお腹を抱えて笑っている。

もう隠れなくてもいいと分かったのか、チャーリーは短い尻尾をぷりぷりと振りながら、男の人に近寄っていった。

「あっ、こら。待ちなさい。」

チャーリーは、嬉しそうに鼻を男の人のデニムパンツに擦り付ける。

私と同い年か、少し年上かもしれない。くしゃっとした柔らかそうな前髪の間から、優しそうな瞳を覗かせている。

男の人はチャーリーの逞しい頭をごりごりと撫でながら、私を見上げた。

「名前は?」

「…えっ?あ、あぁ。え…恵玲奈…。」

「えれな?じゃあメス?」

「えっ?」

「えっ?」


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