ヒカリ
ぶるぶるぶる、とバイブ音がして、目をやると泉水がスマホを取り出していた。

「お、輝真から。…はいよ。何?」


泉水はスマホで話しながら、足元の枯れ葉をざふざふ、と踏み鳴らす。

泉水の真似をして少し離れた場所で枯れ葉を踏んでいると、泉水の今から?と言少し大きな声が聞こえた。

「今は無理。恵玲奈と遊んでるから。」

泉水の声がする。

私は慌てて泉水の前まで行くと、小さな声で、いいよいいよ、と囁いた。

「あー、じゃあ聞いてみるわ。」

泉水は私の目を見ながらそう言うと、スマホから耳を離して、

「輝真たちが今飲んでるんだけど、恵玲奈も来ないか、って。どーする?」


と、聞く。

「え?私も?」

「うん。どーする?」

「…いいの、かな?」

泉水が笑いながら、私の頭をぽんと軽く叩いた。


「いいから誘ってるの。輝真たち、恵玲奈と一度ゆっくり話したいんだってさ。」


「じゃあ…行く。」

「りょーかい。…もしもし?輝真?今から行く。え?うん、恵玲奈も一緒に。…うん。じゃあな。」


どうしよう。
緊張する。

でも、こういうの悪くない。

緊張したり、ドキドキしたり。

こういうの、悪くない。
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