ヒカリ
輝真くんたちがいるのは、駅前通りから少し離れた場所にある、沖縄料理のお店だという。


「行ったことある?」

チャーリーをうちに連れて帰ったあと、お店まで並んで歩きながら、泉水が聞いた。

「ない。」

「海ブドウがうまいよ。ない時もあるけど。今日はあるといいな。」

「うん。」

「豚足とかもうまいよ。けど、チョキしてるから、ちょっとグロいかも。」

「うん。」


泉水が立ち止まる。

「え、なに?もしかして、恵玲奈、緊張とかしてる?」

「してないっ。」


泉水はおかしそうに笑う。

「なによ?」

「恵玲奈は本当、素直じゃないなぁ、と思ってさ。」

「…どうせかわいくないですよ。」

「そんなこと言ってないだろ?恵玲奈はかわいいよ。かわいいかわいい。」

そう言って笑って、泉水は私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。

「撫で方が雑。」

文句を言いながら、私は思う。

さっきまで私は確かに緊張していたのに。

泉水が隣で笑ってくれたら、いつの間にか、私も笑ってしまうんだ。

泉水にぐしゃぐしゃと頭を撫でられたら、いつの間にか気持ちが落ち着いてるんだ。
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