ヒカリ
「じゃあ、改めて、かんぱーい!」


ビールのジョッキがカチン、カチンとなる。

沖縄料理のお店は平日なのに、満席だった。

ゴーヤチャンプルや島らっきょう、それにミミガーといった、見慣れない料理がテーブルに並ぶ。

「恵玲奈、今日海ブドウあるって。」

顔見知りらしい、店員さんと話していた泉水が嬉しそうに言う。

料理はどれもすごく美味しかった。

お店に飾ってあるシーサーも、流れている琉球民謡も、店員さんが着ているかりゆしも、どれもが初めて見るものばかりで、新鮮だった。


「恵玲奈ちゃん、さっきからずっとキョロキョロしてる。」

向かいの輝真くんがくすくすと笑いながら言う。

恥ずかしくなってついうつむいた。

「あ、ごめんごめん。なんか子どもみたいでかわいいなー、と思って。恵玲奈ちゃんって、泉水に似てるね。」

子どもみたい?
泉水に、似てる?


思わず隣の泉水を見ると、泉水もこっちを見ていた。


「輝真、やめてくれ。」

「ほんと、やめてください。」

輝真くんは楽しそうに笑った。


「ごめん、まじでそっくり。」


< 89 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop