ヒカリ
ビールを何杯か飲んだあと、サクくんと輝真くんは二人で泡盛を飲んでいる。

私はシークワーサーの酎ハイ、泉水はずっと生ビールで、ラリーくんはもう眠たそうにしている。


「ちょっとトイレ。」

泉水が席を外すと、輝真くんが話しかけてきた。


「恵玲奈ちゃん、本当に結婚してるの?」

「本当ですよ。」

「なんだ。泉水の作り話だと思ってたのに。」

「作り話、ですか?」

「そう。てかなんでさっきからずっと敬語?俺、年下だから、タメ語にしてよ。」

「あ、はい。あ…うん。」

輝真くんは、そうそう、とにっこり笑う。

「いや、俺達が手を出さないように、泉水が嘘ついてんのかな、って思ってた。」

「こいつ、かわいい子見たら、すぐ手出すから。」

サクくんが笑いながら口を挟む。


「そりゃ出しますよ。俺の生き甲斐だから。お前、坊主の性欲をなめるなよ。」

坊主の性欲…。
なんだかすごい響きだ。

どう返していいかわからず、なんとなくシークワーサー酎ハイに口をつけた。

「そっか。本当にヒトヅマか。あーぁ残念。」

「お前のヒトヅマっていう言い方、なんか嫌だ。」

「サク、うるさい。でも、恵玲奈ちゃん。泉水、いいやつでしょ。あいつには絶対言わないけど、本当いい男だと思うよ。これからも仲良くしてやってね。」

「うん。」

「またライヴ見に来てよ。で、また一緒に飲もうよ。」

輝真くんは、少し酔ってきたのか、ほほをほんのり桃色に染めて、にっこり笑った。

「こら、輝真。口説くなって。」

いつの間にか戻ってきていた泉水が、ゴン、と輝真くんの頭を殴る。

「いって。口説いてないって。」

「恵玲奈、本当?」

笑いながら私がうなづくと、泉水はそっか、と笑う。

「いや、そっか、じゃねぇし。」

輝真くんが頭を押さえてぼやいた。

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