ヒカリ
「今、陶子から電話があって陶子、今から来るって」

泉水が椅子に座りながら、言った。



陶子ちゃん。

誰とでも寝るらしいよ。
オーガスタスのメンバーとも寝たのかな。


いつかのゴシップを思い出した。

泉水とも…。


寝たのかな。




「うわ…もうこんな時間。…私はそろそろ帰ろうかな。」

大袈裟に店内の時計に目をやって、立ち上がった。
こんなのまるで逃げるみたい。
誰から?
何から?


「あ、もう11時か。」

輝真くんたちはそんな私の様子を不思議がることもなく、時計を見て目を丸くしている。

「じゃ、俺送ってくるわ。」

そう言って立ち上がる泉水を、いいから、と止める。

「すぐだし、大丈夫だから。一人で帰れるよ。」

「いや、一人は危ないよ。泉水が行かないから、俺が行くよ。」

輝真くんが立ち上がる。

「いい。俺が送る。」

泉水が珍しくきっぱりと言った。
それ以上、言っても無駄だろう、と思い諦めて立ち上がった。

「じゃあねー、恵玲奈ちゃん。またね。」

輝真くんとサクくんが手を振る。
ラリーくんは、完全に眠っていた。



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