ヒカリ
「あ、私の分。いくらかな。」

お店を出て、隣を歩く泉水に声をかける。

「さぁ、わかんない。また今度でいいよ。」

泉水は寒そうに身を縮めて、ポケットに両手を入れた。

「本当、泉水って寒がりだね。」

泉水が本当に寒そうにするから、思わずくすくすと笑ってしまう。


「泉水、もうすぐ春休みでしょ?短期のバイトとかするの?」

「んー。どうしよっかな。去年は泊まり込みバイトしたんだけど。」

「泊まり込みバイトってどんなの?」

「ゲレンデ近くのペンションのバイト。空いてる時間は滑れるし、楽しかった。」

「いいな。雪さわりたいな。」

雪遊び。
それも私がしたことのないもののひとつだ。

このへんじゃ、雪は滅多に降らない。
降ったとしても積もることはない。




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