ヒカリ
チャーリーを抱っこして、ベランダから星を眺めていた。

全天で一番光り輝く星、シリウス。
こいぬ座のプロキオン、それとオリオン座のベテルギウス。

必ず見つけることが出来る冬大三角。


私は、どれでもない。
どこにいても、必ず見つけてもらえるような、光り輝く星じゃない。


時々。
泉水といると時々、悲しくなる時がある。
私にはなんにもないから。
泉水が持ってるもの全てが眩しくて、羨ましくて、憎らしくなる。

ホーローのマグカップに入った温かいミルクみたいな家族とか。
真冬の空に光り輝くシリウスみたいな夢とか。


陶子ちゃんは、私と真逆だという。
それならば。
泉水は誰かに、「恵玲奈ってどんな子?」と聞かれたらなんて答えるのだろう。

泉水の目に、恵玲奈という人間はどううつっているのだろう。


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