男装騎士~あなたの笑顔護ります~
「でも」
私が泣きやみ落ち着いた頃、フランが切り出した。
「石の力、発揮されてなかった」
「え?」
「破魔の力を使っていたら、あんな風な魔物の倒れ方はあり得ないんだよ」
「どういう事・・・?」
倒され方。
倒れた魔物の姿が脳裏に浮かび、再び気分が落ちる。
それに気づいたのか、フランが苦笑する。
「破魔の力は、邪なものを滅する力があるんだ。だから、その力で倒されれば、その姿は消滅するんだ」
「そ、そうなの?」
恐ろしい力なのね。
「それでも、確かに致命傷を与えなければ完全に消滅しないこともある。たとえば、片腕だけが・・・みたいにね」
「へえ」
「ですが、あの魔物は確かに胸を一突きされ息絶えてた。なのに、その姿はそのまま残ってた・・・。それって、その石の本来の力を使えてないからなんだ」