男装騎士~あなたの笑顔護ります~
私は、荷物を持ってこっそり塔を出て行く。
城を出る前に、一度だけレオさまの様子だけでも見てから行こうと城の中に入った。
誰にも会うことなくレオさまの部屋の前までやってきた。
今は、フランが護衛中のはずだ。
トントンと、ノックをするとしばらくして中から返事がした。
「ユキです」
そう告げると、しばらくしてゆっくりと扉が開いた。
私を驚いた表情で見るフランに、にっこり笑ってみせる。
「失礼します」
中では、レオさまがいつものように机に向かい書物と向き合っている。
レオさまの視線がゆっくりと私に向けあがってくる。
「レオさま。昨日は、レオさまの前で気を失ってしまい申し訳ありませんでした」
礼儀正しく、そう言葉を紡いでいく。
「いや。いい」
レオさまは、素っ気なく短く答えた。