男装騎士~あなたの笑顔護ります~
第3章
涙の雨
城を出て数時間。
私はひたすら歩き続けていた。
城に向かった時の景色を頼りに。
あの噴水がある広場を目指す。
でも、なかなかたどり着かないその場所に私の体力も限界を迎えていた。
グレンとの移動は馬車だったから、こんなにも遠いものだとは思わなかった。
「どうやったら戻れるのよ・・・」
泣き言が出る。
一人になって。
行き交う人も知らない人だらけで。
心細さに胸が押しつぶされそうになる。
私には、なにもない。
友だちも、家族も、大切な人も。
ここにはいないんだ。
誰も、いない。
私は、一人ぼっち。