男装騎士~あなたの笑顔護ります~
結局、どうしたらいいかもわからないまま私は王さまの部屋の前までやってきた。
深く深呼吸をしてノックをする。
「はい」
「あの、ユキです。王さまに呼ばれてきました」
「はいれ」
ゆっくり扉が開かれる。
対応してくれていたのは王さま付きの騎士のようだ。
中に案内され、大きなデスクに王さまはいた。
「失礼します」
「ああ、よく来たね」
まっすぐ向けられた目。
鋭く射抜くような瞳は、私を品定めでもするかのように撫でていく。
ごくりと息をのむ。
「もういい、戻っておれ」
「はっ」
私を案内した騎士にそう告げると、その騎士は一礼して部屋を出た。
王さまと二人になった部屋。
自分の心臓の音だけが響いていた。