男装騎士~あなたの笑顔護ります~
私は、塔でノアやフランと稽古をしていた。
手合せをするわけではなく、それぞれに筋力トレーニングをしたり体を伸ばしたり。
「でも、本当にこれからも男としてやっていくの?」
手を止めたフランが汗をぬぐいながら私を見た。
私も手を止めフランに顔を向ける。
「うん。だって、レオを護る騎士が女じゃかっこ付かないじゃん」
「でも、もう王にもレオさまにもばれたんだし・・・」
「これは、気持ちの問題だから。それに、他の騎士にはばれていないみたいだし」
そう。
なぜか、王付きの騎士たちも私が女だということは聞いていないようだった。
きっともう知れ渡ってて、何か言われるんじゃないかと構えていたのにそんなことは一切なかったのだ。
あの、王付きの側近も、一度顔を合わせたけどなにも言ってこなかったし。
どういうつもりなんだろう。
「髪の色はこっちが地毛だで通ったし。今迄通り男として過ごすよ」
「ユキがいいなら俺たちはいいけどよ。あんま無理すんなよ」
ノアが水を手渡してくれながらそう言った。
心配してくれているんだろう。
でも、もう決めたことだから。
ここにいて、私ができることをする。
私にはやっぱり、これしかないと思うから。
そう思いながら腰につけた剣を見つめた。