男装騎士~あなたの笑顔護ります~
城の中に案内され、赤いじゅうたんがひかれた階段を登る。
登って行った先の大きな重そうな扉の前で立ち止まる。
ここが、目的地のようだ。
「この先に、王子がいます。失礼のないように」
「え、この向こうにいるの?」
「敬語ですよ」
「あ、はぁい・・・」
私、好きでここにいるわけじゃないんだけど。
少しムッとしながら、反論したところで口で叶う相手じゃないことはなんとなくわかったから黙っておく。
グレンは、その大きな扉をトントンとノックする。
「はいれ」
静かな声が中から聞こえ、グレンは私を見るとドアノブに手をかけた。
グレンの手によって開かれていく扉。
私はごくりと息をのんだ。