男装騎士~あなたの笑顔護ります~



その中は、とてもシンプルな作りだった。
もっと、高そうな机とか置物とかいろいろと今まで通ってきたところのように置いてあるのかと思っていたけど。



あるのは、大きな机と、すわり心地のよさそうなソファタイプの椅子。
その先には、外が見渡せる大きな窓。





そして、大きなソファに座っている一人の男の人。





真っ黒な短めの髪。
少し眺めの前髪を斜めに分け、その先に見える瞳は、とても暗く鋭かった。
シュッとした二重の瞳、服の上からでもわかる均等のとれているであろう身体。
黒に金の金具タイプの留め具がついたスーツのような形の、上着に、タイトなパンツ。



全身黒でまとめた、彼は・・・きっと王子様なのだろう。




纏うオーラは、他の誰とも比べ物にならないくらいだ。
私にもわかるくらいの、気品というか迫力というか。





それにしても、とても冷たい空気の持ち主だ。





「お忙しいときに、失礼いたします」

「いや、いい。ちょうどひと段落したところだ」





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