男装騎士~あなたの笑顔護ります~
過去の傷
「俺の母だ」
そう言ったレオはとても傷ついて見えた。
話したくないことなんだろう。
それでも、話そうとしてくれている。
私は黙って話を聞いた。
「母は、当時30を超していた父のもとに20で嫁いできた」
ポツリポツリと話しはじめる。
「そしてすぐに、俺を生んだ・・・」
「とても、優しそうな人だった」
「ああ。とても優しく、穏やかな人だった・・・。俺は、母を慕っていた」
大好きなお母さん。
レオが本当にお母さんの事を大好きだったって伝わってくる。
こんな風に、誰かの事を好きだって話すレオを初めて見たから。
「父は、当時から“レッドアイ”を持つ者として父には目の敵のようにされていたから。・・・母はいつだってそんな俺を庇って守ってくれた」
「そう・・・。本当に、素敵なお母さんだったんだね」
レオの表情が陰る。