男装騎士~あなたの笑顔護ります~
第1章
誰かの声
「ありがとうございました!」
道場に、元気な声が響く。
胴着から急いで制服に着替えた私、立花雪。
バタバタと慌ただしく道場を後にする。
「もう少しおしとやかにせんか!雪!」
後ろでお父さんの声がする。
この道場は、お父さんが作った道場だ。
生徒もそこそこいて、結構賑わっている。
「はーい!」
軽く聞き流しながら、学校に向かうため時間を気にして走る。
おしとやかに。
そんな単語私の辞書にはないのだ。
男の子に囲まれて過ごしてきた。
剣道をする女の子だって確かにいるけど、うちの道場はほとんどが男の子。
お父さんがかなり厳しいから、なかなか女の子は寄り付かないのだ。