男装騎士~あなたの笑顔護ります~
「王子さま、これを彼女の口に」
「・・・ああ」
レオが連れてきたお医者様がレオに袋を渡す。
レオはその袋を私の口にあてた。
「これでいいのか?」
「はい。しばらくすれば落ち着くはずです。ユキさん。ゆっくり呼吸をしましょう。呼吸の仕方を思い出してください。ゆっくり、ゆっくり」
お医者様に優しく声をかけられ、私は落ち着きを取り戻していく。
呼吸が正しくできるようになると、私の口から袋は外された。
「ユキ、大丈夫か?」
「・・・」
泣きそうな顔。
胸が、痛む。
私は静かにうなずいた。
「ユキさん、私は医師のイルムです。よろしくお願いします」
白髪の優しそうな表情で眼鏡をかけた少し年配のおじ様だ。
私は声の代わりに頷いた。