男装騎士~あなたの笑顔護ります~
ユキはベッドに転んだままボーッと窓の外を見ていた。
ベッドから見えるのは青く澄んだ空だけ。
「ユキ!」
そこに明るい声が飛び込んでくる。
フランの声だ。
塔で話し合いをした後みんなでレオの部屋にやってきたのだ。
ユキは顔をフランたちの方に向けると、動かせる手を振って応えた。
表情は、無表情のままだ。
そのことに、胸を痛めるがそれを表に出さないようフランは笑顔を浮かべてユキのもとに寄った。
「目が覚めてよかったよ。気分悪くない?」
「顔色はいいみたいだな」
フランとノアが口々にユキに詰め寄り話しかける。
ユキは視線を二人に交互に動かしながら何度も頷いた。
皆の顔を見ていると、溢れてくる想いが涙となって溢れてくる。
ポロポロと溢れだした涙に一行は戸惑いを隠せない。
笑顔で向き合おうとした矢先に、こんな姿を見てしまうと胸が痛むのを止められない。
ユキは何か言いたげに口を動かす。
「なに?ユキ、なにか伝えたいことがあるの?」
フランがユキを落ち着かせるように落ち着いた声色で話しかける。