男装騎士~あなたの笑顔護ります~



急に腕を掴まれ引き起こされる。
私を立たせてくれたのは、男の人。

ふんわりとした癖っ毛の茶色い髪の、すらっとした男の人。
瞳は眠そうに垂れていて面倒くさそうに私を見る。




「あ・・・、すいません」




そう言いながら、しっかりと自分の足で立つ。
ふと、その人の胸元を見ると、グリーンの水晶のネックレス。
さっき追いかけた人だ。



「・・・そんなに慌ててなにしてたの?」

「え・・・と・・・」




人さらいの犯人のネックレスと一緒だったから、なんて言えない。
それになんで追いかけたんだろう。
あの男は捕まってるはずなのに。



バカだ、私。





「そんな足で、連れも連れずに危ないでしょ。早く帰りな。じゃあね」




男の人はそう言うと、踵を返して歩き出した。
そんな足って・・・どうして足の事・・・。


胸が騒ぐのは、なぜ?



それに、あの人の喋り方なんだか似ている気がした・・・。
そして、声も・・・。




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