男装騎士~あなたの笑顔護ります~



薬を塗り終えるとそこに包帯を巻いていく。
手馴れた手つきで素早く巻き終えると私の足に靴を履かせてくれる。



「本当は、靴履かないほうがいいけど」

「ありがとう・・・」

「俺は、お礼なんか言われるべき人間じゃない」

「え?」

「あんたが俺に、お礼なんか言ってはいけない」





まっすぐ見つめられ言われた言葉。
どういう意味?




「にぃちゃん?」




聞こうと口を開けた瞬間小さなか細い声が聞こえた。
振り向くと、隣の部屋の襖から覗く小さな姿。


可愛らしい女の子だ。
カイとよく似たたれ目のふわふわな茶色い髪の女の子。




「リリ、起きてきたらダメだろ」

「にぃちゃんの声聞こえて・・・こほこほ」

「ほら、咳してるじゃないか。奥行って眠ってな。すぐ行くから」

「うん」




カイは優しい声色でリリと呼んだ小さな女の子を奥に連れて行く。
体調が悪いのだろうか、咳き込む声が聞こえてくる。




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