男装騎士~あなたの笑顔護ります~
「来ないと思ってた。たった一人の騎士なんかのために、大きな任務を放り出して助けに来るなんて・・・。いや、来ないでほしかった。来ない奴でいてほしかったのか・・・」
「レオは、違う・・・。王さまとレオは違うわ」
「あいつの、必死な顔を見て・・・わかった。ああ、あいつの中であんたがどれほど大切な存在なのかって。大切な者のためには、あいつでも必死な顔をするんだって」
紡ぎだされていくカイの言葉はとても切なく。
私の中に染みこんでいく。
「・・・嫌な奴のままでいてくれたら。こんな思いすることなかった。あんただって!」
「え・・・」
「俺をあの時つき出してくれてたら!俺は・・・、こんな罪悪感に苛まれることなんて・・・」
カイの手が私の二の腕を掴む。
苦しみに力を込められ、ギリギリと締め付けられた。
「・・・っ、だからもういいんだ」
「いいって・・・」
「ここに、王子でもだれでも呼べ。それで、俺を突きだせ」
「そんな、カイ」
カイの瞳は真剣で。
私は、戸惑い瞳を揺らす。
こんな傷ついたカイをつき出すなんて・・・。