男装騎士~あなたの笑顔護ります~



今は見張りはいないはず。
来る途中に、グレンがみんなを集めている声が聞こえたから。


朝一に、カイへの聴取をいったん終えたとも聞こえた。




私はそっと階段を降り、地下へ向かう。
塔に暮らしていても、地下に来たことは初めてだった。
というより、地下があることすら初めて知った。



地下には、格子のついた牢屋が一つだけあった。
そっと中を覗く。



端っこに横たわるカイを見つけた。



薄暗くてよくわからないけど、眠っているみたいだ。





「カイ・・・」




小さく呼びかけると、浅い眠りだったのかビクッと肩を揺らし目を覚ました。



「あんた・・・。なんでここに」

「聴取、・・・どうだったのかと思って」

「なんでそんな事俺に聞くのさ。あんたの王子さまに聞きなよ」



あ、街で会った時の柔らかいカイだ。
部屋でのカイは刺々しかった。





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