男装騎士~あなたの笑顔護ります~
「足、大分歩けるようになったんじゃねぇのか?」
「あ、うん・・・。今日、歩いてみてもう普通に歩けるようになってた」
「熱も下がったみたいだし、毒はもう抜けてるよ」
カイがそう教えてくれた。
そう言えば、薬師だと言っていた。
「薬師だから、詳しいの?」
「ああ。薬を知るには毒の事も知っておかないとね」
「そっか」
知ってるからこそ、どれくらい入れたらどうなるかとか詳しいんだ。
詳しいからこそ、毒を使ったのかもしれない。
そして、もしかしたら・・・。
「それが一番、私が生きる可能性が高かったから?」
「は?」
「だって、本当に殺すつもりなら、そんな回りくどいことしないで体を傷付ければ血を流してそのうち死ぬでしょう?毒の周りとか量とか熟知してたなら、山のふもとから帰ってこれる時間を計算して薬を入れるのもできるんじゃないの?」
「・・・さあ?」
「カイは、私に暴れたら毒の回りが早くなるって教えてくれた。それだって、ただ怖がらせたいだけだと思ってたけど、そうじゃないとしたら」
「ただの想像だろ」
カイに会ってから、ずっと引っかかってた。
あの時のカイと今のカイがシンクロしなくて、モヤモヤしてた。