男装騎士~あなたの笑顔護ります~
「・・・」
「ねぇ、なんで?」
黙り込んだカイに私は再び問いかけた。
「リリを人質に取られた。・・・ただそれだけだ」
「そんな!そんな卑怯な手を・・・」
なんで?
そこまでして、なにを護ろうとしてるの?
自分の立場?
名誉?
わからない。
「同情なんかするな。俺は、裏でそう言う商売をしてきた。依頼されればどんなことだってやってきた。今回は、魔物の討伐で国民だってみんな期待してる。それを知ってるから受けるのを渋った。その結果、足元をすくわれたんだ」
そういう事を仕事としてやってきた。
それは生きるため、リリちゃんを育てるため。
それでも最初は、断ろうとしてたんだ。
「遂行すれば、リリは返す。そしてリリの薬代を保障すると・・・。そんな口車に結局は負けたんだ」
「でも、リリちゃんを護るためだったんだよね」
「そんなかっこいいもんじゃない」
護るために、何かを犠牲にしなくちゃいけないなら。
私は何を犠牲にするだろう。