男装騎士~あなたの笑顔護ります~
「ユキ、頬どうしたんだ?」
こっそり城の塔に戻ると部屋に戻る途中で偶然ノアに鉢合わせた。
私の頬の傷を心配そうに覗き込む。
「あ・・・、これは、ちょっと引っ掻いちゃって」
「引っ掻いた?気をつけろよ?女の顔なんだから」
「うん、ありがとう・・・」
ノアは私の頭をポンッと叩く。
「・・・それから、レオさまとなんかあったか?」
「え・・・」
ノアの言葉に、私は声を詰まらせた。
なんかならあったけど・・・、でも、私の想いはきっとノアにだって受け入れられない。
だからせめて、私がみんなの誤解を解かなきゃいけない。
「レオさまに言わずにこっち戻ってきたんだろ?レオさま、凄くピリピリしてたし」
「・・・これ以上、迷惑かけたくないから」
「迷惑って」
「悲しそうな表情とか、無理に笑ってくれたりとか・・・、してほしくないし。今の私は・・・、レオ側にいてほしくないと思うから」