男装騎士~あなたの笑顔護ります~
「悲しいねぇ。好きな人と結ばれないってのは」
「・・・カイは、好きな人いるの?」
なんだか、その話を続けたくなくて話を変えた。
「その点、俺はいくらでも好きなこと結婚でもなんでもできるわけだし」
「いるんだ」
「な、俺にしとけば?」
「・・・は?」
牢の中から投げかけられた言葉に、私は怪訝そうに返す。
俺にしとけばって、どういう意味よ。
「バカじゃないの。あんた、ついこの間まで敵だったんだからね」
「その言い方、今は敵じゃないみたいだな」
「敵なの?」
なにそれ、まだなんか企むつもり?
私が睨みつけると、カイは驚いたように目を見開いた。
「ほんと・・・、あんたって、変な奴だな」
「は?」
「自分を殺そうとしたやつを許そうとするし。敵だった奴を敵じゃないとかいうし」