男装騎士~あなたの笑顔護ります~
「今回の、婚姻の話、なかったことにしていただきたい」
マリア姫と、その父である王さまを迎え、レオははっきりとそう告げた。
いきなりそう告げられた王さまと姫は言葉を詰まらせ、眉を寄せる。
こちらの重役の人たちも、突然のレオの発言にざわめき始めた。
「どういうことだ、王よ。この婚姻の意味を分かっておいでか?」
「わかっております。まだ不安定なこの国には、大きな国の力添えは望んでもいないありがたきこと。そのための婚姻だと・・・」
「ならば」
「ですが、私は。自分の力を試してみたいのです。我が力で立て直してこそ、王としての力を、国民にわかっていただけると考えているんです」
「わしの力はいらぬと?」
王さまの眉がピクリと上がる。
「いえ。お力添えという形ではなく、相談に乗っていただければと願っております」
「相談・・・か」
「はい。貴国の城下はとても栄えていると聞いています。私も、何度か足を運びとてもいい国だと感じました。どのようにしてその国を創られたのか、同じ王という立場同士で語らいたいと思っております」
「ははっ、同じ立場か・・・。それもよいであろう。だが、ただでとは言わんぞ?」
「はい。上等な酒を用意いたしましょう」