男装騎士~あなたの笑顔護ります~
「・・・ですが、この件を取りやめていただきたい本当の理由は、別にあるのです」
「なに・・・?」
堂々とした様でレオが告げる。
騎士として側にいた私は、ハラハラと胸をざわつかせる。
なにを言うつもりなの?
「本当は、告げるつもりはなかったのですが。王とは、心を通わせ、本心で語らいたいと思いましたので、隠し事はなく帰っていただきたく、気分が変わりました」
「ほお」
「私には、心に決めた者がいるのです」
はっきりと、そう言った。
「それは、マリアよりも得のある女性なのか?」
「得・・・。どうでしょう。身分も、生まれも、全く違う者ですから。王としての得という面では、姫には及ばないかもしれません」
「ならば」
「ですが、私という一個人としては、彼女は誰にも代えがたく、私に必要な人なのです。生きることを諦めていた私に、王子としての役割を放棄していた私に、生きることを教えてくれました」
レオの言葉が嬉しくて。
唇を噛みしめた。