男装騎士~あなたの笑顔護ります~
「そんなものは、理由にはならん。なにがあったとしても、安全は確実に確保しなくてはいけないのではないか?そういう仕事を生業としているのなら、最低限気をつけねばならんことだと思うが」
「はい・・・その通りでございます・・・」
「今回は運よく死人が出なかったからよいものを、もしこれで、犠牲者が出ていたら取り返しのつかんことになるのだぞ」
「申し訳ございませんっ」
「・・・きちんと安全が確保できる資材が調達できるまで、営業停止を命ずる。そして、今回の事故の調査報告書をあげて持って来い」
「・・・はいっ」
頭を地面にこすり付ける勢いで土下座をする者たちにそう告げると、俺は踵を返す。
「グレン、後は任せた」
「はっ」
情けない。
俺自身が。
国のこういった状況を、把握できていない自分が。
まだ未熟なのだと痛感する。
これでは、護りたいものも護れはしない。