男装騎士~あなたの笑顔護ります~
「なんか、ユキといるとさ。自分の不甲斐なさが痛いくらいわかって凹む」
「ええっ!?」
「いつだってレオさまを助けるのはユキで、いつも一歩も二歩も遅れちゃうんだ」
訓練のためにやってきた道場で、フランがふてくされたように言う。
「そんなことないよ。私はただ、やみくもなだけで。考えなしだから・・・」
「でも」
「私は、国をって言うよりも、レオを護りたいって思ってるから。フランみたいにこの国を護っていこうっていう方が、やっぱりすごいって思うよ」
笑ってそう言うと、フランは渋々納得したようにうなずく。
皆精一杯でレオを、この国を護ってる。
私はレオを護るだけで精一杯だから。
「でも、それもあと1週間だよ」
「え?」
「ユキは、護られる側になるんだから」
フランの言葉に、私は黙り込んだ。
そう、私は1週間後、レオと結婚する。
そして、正式に王妃として迎えられることになった。
重役たちはいろいろと文句を言っていたようだけど、すべてレオが納得させたのだという。