男装騎士~あなたの笑顔護ります~



―くれぐれも、と言っておいたはずですが





その日の夜。
グレンからの通信で一言目にそう言われた。

秘密がばれてしまった件についてだろう。
そう言ったって、不可抗力だ。
仕方ない。



「だって、私気を失ってたんだから仕方ないでしょ」

―ほら、今も“私”と。普段から気を付けていないからそうなるのです

「う・・・。俺!おれ、俺、俺!これでいいんだろっ!」




もう少し、労わるとかないわけ?
ノアは、自分のせいだと捻挫をした私の事ものすごく心配してくれたし。
フランだって献身的に世話を焼いてくれた。



それに引き換え、グレンは小言ばかり。




―あのノアを本気にさせたことは、褒めて差し上げましょう

「別に褒めてほしいわけじゃない!」

―では、どうしろと

「別にいい。期待してないから」




優しさを、グレンに求める方がバカなんだ。
私はぼすっと音を立てベッドに横になった。





< 61 / 616 >

この作品をシェア

pagetop