はじけるピンクの恋心
「ううん、気にしないで？白木くん、紗奈ちゃんとお幸せにね！」


可愛らしい笑顔で、あたしと白木を交互に見る梓ちゃん。


隣にいる白木は繋いでいない片方の手で口元を隠して「･･･うん。」と呟いた。
その様子からして白木が照れているのがわかった。


「あ、ねぇねぇ梓ちゃん。神崎はまだなの？」


「うん。神崎くんはまだ着てないよ？」


「そっか。」


そんな会話を交わしている時だった後ろからは騒がしい足音。
何も見てもいないのに、それが神崎だとすぐにわかった。


「おっす！遅れてしまって誠に申し訳ないなー。ま、気にするな！」


イキナリの登場だと思ったらこのハイテンション。
おまけに大笑いしているのは言うまでもなかった。


「拓也、笑いすぎだって。」


そう言う白木を見て神崎の目線は下へと向けられた。


「あ･･･。蓮と山村。お、お前等･･･人前でそんなにイチャイチャすんなよ！」


アハハッと大笑いをしていた神崎だけどあたしと白木の手が絡まっているのを何度も何度も寂しそうに見ていた気がした。

それが本当にあたしの“気のせい”だったら良かったのに･･･。


･･･―


「うまい！蓮、これ食ってみろ！」


「は？いや、それ俺も買ったけど･･･。」


屋台で買った焼きとうもろこしを食べる神崎と白木。
何だか、とてもおいしそうに見えてあたしまで食べたくなった。
< 30 / 73 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop