はじけるピンクの恋心
白木から手渡されたとうもろこしを前に、あたしは覚悟を決め一口だけ口に運ぼうとした。


「ちょーと待った!やっぱりな、こんな事はするもんじゃねぇ。やるなら2人きりの時な!」


白木との間接キスは神崎によってなくなってしまった。
言いだしっぺの神崎が止めるなんて何だかアホらしくて、さっきまで熱かった顔も笑いで溢れていた。


「何だよ、拓也。お前が言ったんだろ?」


「蓮こそ何だよ。そんなに間接キスしたかったのか~?」


ニヤリと嫌な笑顔を浮かべて白木をからかう神崎。


「もう、神崎くんって・・・。」


「え?どうしたの、梓ちゃん?」


隣でクスクス笑っている梓ちゃん。


「ううん、ただやっぱり神崎くんは芸人向けだと思っただけだよ!」


梓ちゃんがそんな事を言うなんて思ってもなかったから驚いた。
だけど“芸人向け”だなんて梓ちゃんも神崎の事をよく見てるんだな。



「山村ー!蓮ってばマジで山村と間接キスしたかったらしいぞ!」


「は?誰も、そんな事・・・。勝手な事を言うな!」


「まぁまぁ、落ち着けよ、蓮。」


「いや、拓也が落ち着けよ。」


子供染みた言い合いをしている2人。
これも親友だからできる事なんだろうな・・・。


「てか、蓮。間接キスじゃなくて唇にキスの方が良いだろ?」


・・・何て事を言い出すんだ、神崎は。
本当にこの男は馬鹿とアホが良く似合う男だ。
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