はじけるピンクの恋心
・・・―


「痛っ・・・。」


たくさんの人がいる中、屋台で食べ物を買ったり、歩き回ったせいか梓ちゃんは足の痛みに涙目になっていた。


「渡辺、どうしたの?」


梓ちゃんの様子に気づいた白木が心配そうに駆け寄った。
それと同じ様に神崎も近寄る。


「梓ちゃん、靴擦れしちゃったみたい・・・。」


そう白木と神崎に呟いた。


「ごめんね、下駄履くの慣れてないから。」


苦笑いを浮かべる梓ちゃんは痛いのを堪えている様に見えた。
きっと心配と、迷惑をかけまいと思っているんだろうな。


「渡辺、こっち!」


・・・神崎?
突然、梓ちゃんを近くの座れる場所へと連れて行く神崎。
あたしと白木も、その後を追った。


「あー、これって鼻緒がキツくなかったか?」


「え・・・。うん。少しキツかった、かな。」


神崎は梓ちゃんが座ると、器用に梓ちゃんの足から下駄を脱がした。
何だかその雰囲気がまるで恋人同士に思えて・・・。


「あの2人、いい感じだな。」


「うん。今日中には、くっつくかもね!」


そう白木と、梓ちゃん達には聞こえない様に小声で話していた。
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