はじけるピンクの恋心
「梓ちゃん!これ、絆創膏!」


ポーチから持って来ていた絆創膏1枚を取り出し、梓ちゃんに渡した。


「紗奈ちゃん、ありがとう!本当に、ごめんね。」


「大丈夫だよ!それより梓ちゃん、大丈夫?」


「下駄脱いだら痛みが少し消えちゃった。」


小さく微笑む梓ちゃんの頬は、ほんのり赤く染まっていた。
やっぱり神崎とはいい感じだよ、梓ちゃん。


神崎は梓ちゃんから絆創膏を取り、梓ちゃんの足の親指に絆創膏を貼ってあげていた。
その行動から神崎は、優しいんだなと思ったりしたんだ。


「渡辺、歩けるか?」


「うん。ありがとう、神崎くん。大分、良くなってきたよ!」


そう梓ちゃんがニッコリと笑顔で言ったので、また屋台に行く事にした。
どうやら神崎は、いくら食べても物足りない様だ。


あたしと白木が並んで歩く。
その前には梓ちゃんと神崎が並んで歩く。


「山村は大丈夫か?足。」


「え、うん!全然大丈夫だよ!」


とは言ってみたものの・・・。
本当は、あたしも梓ちゃんと同様に靴擦れをしている。


「そっか。なら良かった。」


梓ちゃんも靴擦れをしていて、あたしまで靴擦れしているのがバレたらそれこそ本当に迷惑だよ。


だから嘘をついたんだ。
そして無理矢理、白木に笑顔を見せたんだ。
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