はじけるピンクの恋心
「あ、これ可愛いね!」


立ち止まった梓ちゃん。
その前には射的があった。台の上には可愛いクマのぬいぐるみなどが景品として置かれている。


「蓮、取ってあげろよ!お前、射的上手かっただろ?」


「は?何で俺なんだよ。拓也がしろよ。」


「俺がやったら金の無駄遣い。蓮、ここは山村と渡辺にカッコイイ姿を見せてやれ!」


呆れ顔の白木だけど「まぁ、1回だけなら・・・。」と呟いて、300円を店の人に渡し射的を始めた。

梓ちゃんは白木の横で「白木くん、ごめんね!でも、取れたら良いな。」と笑顔で言っていた。


それにしても白木が射的上手いだなんて初耳だ。
白木にしたら意外な特技だな。


「おい、山村。ちょっと来い。」


「え?・・・神崎?」


白木と梓ちゃんが射的に夢中になっているすきに神崎があたしの腕を掴み人が少ない場所へと連れられた。


「・・・どうしたの神崎?」


「いいから、座って。」


神崎の言われるまま不思議に思いながら、ゆっくりと地面に座った。
幸いコンクリートになっていたので汚くはなかった。


「え、ちょっと、神崎!」


さっきの梓ちゃんと同じ様に、下駄を脱がされた。
もしかして・・・靴擦れ、気づいてた?


「やっぱり。山村も靴擦れしてんじゃん。ずっと痛み耐えてたのか?」


「・・・うん。」


まさか神崎に気づかれてるなんて思ってもいなかったから驚きだ。
どうして、あたしが靴擦れしてる事、わかったんだろう。
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