はじけるピンクの恋心
「神崎・・・。」


「山村、俺・・・お前が好きなんだよ。」


その瞬間に、ぶつかった唇と唇。
本当に一瞬だけど、あたしにとっては大事なキスだった。

まだ白木としかしていないのに。
まだ白木と2回しかしていないのに。


神崎に、あたしの3回目のキス奪われちゃった。



「拓也、山村、心配した。どうしたの、こんな所で2人きりになって。」


突然聞こえた白木の声に驚く。
固まっていたあたしは思わず体を動かす。


「あ、紗奈ちゃん!神崎くん!」


そして数秒後に遅れてやって来た梓ちゃん。


凄いタイミングだ。

だけど正直な気持ち2人が来てくれて良かったと思う。
あのまま神崎と2きりだったら、どうしたら良いのかわからなかったと思うから。
あのままだと、きっとお互い気まずいままになってしまう。


「お、おぉ。蓮と渡辺、ごめんな。突然抜け駆けして。ちょっと山村にトイレの場所、聞いて着いて来てもらってたんだよ。蓮、彼女と2人きりになってスイマセーン。」


驚く程、いつもと変わらない喋り方と雰囲気で神崎は白木に向かって話している。
一方、あたしはさっきの神崎の言葉が、神崎の唇の感触が、焼きついて離れなかった。


だけど、それよりも白木に神崎とのキスシーンを見られていなくて良かった。
白木の様子からして、きっと見られていないのだろう。



「紗奈ちゃん、どうしたの?顔色悪いよ?」


「だ、大丈夫だよ!ちょっと浴衣の帯が苦しくて・・・。」


梓ちゃんの顔が、まともに見れない。
梓ちゃんは神崎が好きなのに。
ずっとずっと梓ちゃんは神崎の事を想っているのに。

神崎と、梓ちゃん。
これから、どうやって接していけばいいんだろう。
< 40 / 73 >

この作品をシェア

pagetop