はじけるピンクの恋心
「あら、おかえり紗奈。浴衣は苦しくなかった?」


「ただいまー。ちょっと苦しかった、かな。」



お母さんにそう言った後、あたしは自分の部屋で浴衣を脱いだ。


帯を取ると何故か解放感でいっぱいになった。
今までの苦しさが一気に消えて気持ち良かったのだ。



リビングには仕事帰りのお父さんの姿があった。相変わらず、ビールを飲みながらテレビを見て大笑い。



「おー、紗奈帰って来たか。飯、食うか?」


「んー、屋台とかで食べたからいらない。お風呂入る。」



そう言ってお風呂場に行く。
お風呂場にはお母さんが気を遣っているのか、ねまきと下着が用意されていた。


どうりで、ねまきがないと思ったらお母さんが用意していてくれたんだ。気が利くな。



頭を洗い、体を洗い、洗顔をする。そして浴槽に入る。


ちゃぷんと音を立て入った浴槽には、湯気がたっている。

少し熱いけど丁度良いぐらいの温度だ。



はぁーと疲れた声を漏らし、あたしは今日を振り返った。


今日は色々と疲れた日だった様な気がする。

神崎に告白されて、キスされたんだよね。
梓ちゃんにも悪いし、何ていっても白木には大変悪い事だ。
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